マウスピースの使用で失格!マウスピースのルールと注意点
甲子園で金足農業高校の吉田選手が白のマウスガードを使用していたことで知名度があがり、野球に限らず、マウスガードを使用している選手を多く見るようになりました。
しかし、マウスガードであればなんでもいいというわけではなく、知識がある歯科医師や歯科技工士が作製・調整しなければ、逆にパフォーマンスを下げることにもつながってしまいます。
そして使用する選手も、きちんと知識を持たなければ最悪の事態になりかねません。
今回はマウスピースが原因で失格になってしまったケースを紹介します。
尾崎直道選手がマウスピースの使用で失格処分
マウスピースの使用で失格になったのは、ベテランプロゴルファーで永久シード権も持つ尾崎直道選手です。
事件が起きたのは2012年のツアー開幕戦【東建ホームメイトカップ】の初日。尾崎直道選手がホールアウトした後に事件は起きました。
この日、尾崎直道選手はマウスピースを使用してラウンド。
これが ゴルフ規則14-3「人工の機器と異常な携帯品、携帯品の異常な使用」に抵触するという判断となり、失格処分となりました。
なぜ失格になってしまったのか??
実は、ゴルフのルールブックにマウスピース禁止とは一切書かれておらず、ゴルフのプレー中にマウスピースを使用することは問題はありません。
なぜ今回、尾崎直道選手が失格処分になってしまったかというとラウンド後の発言が問題でした。
尾崎選手はホールアウト後、マウスピースについて、「マウスピースを使うと飛距離が伸びるんだよ」 と言ってしまったのです。これを聞いた競技委員会が、パフォーマンスを不当に上げるものを使用したと判断し失格処分となりました。
つまり、尾崎選手の発言次第では失格とならず、プレーを続ける事も可能だったということです。
マウスピースへのコメントは要注意
尾崎選手のケースからわかるように、マウスピースについてのコメントには注意が必要です。
特にマウスガードの使用が義務付けられていない競技でマウスガード(スポーツ用マウスピース)についてコメントを求められた場合、『パフォーマンスを上げる目的で使用している』といった発言は控えるようにしましょう。
あくまで、テーピングなどと同じで医療目的で使用しているとコメントすべきです。具体的に例を出すと、『食いしばりが強くて歯が欠けてしまうのを予防しています。』『顎関節への負担を軽減するために使っています。』『咬み合わせの治療の為に使っています。』などのように答えれば、まったく問題なく使用する事ができます。
実際、金足農業の吉田恒星選手は『投球時にくいしばる癖があり、歯が欠けた事があるので、マウスガードを使用している。』と話しています。
パフォーマンスの向上が目的ではなく、歯を守る為に使っているということですね。
もし「球速が上がるんです!!」なんて話してたら。。。
マウスピースでパフォーマンスは上がるのか?
マウスピースを使用することによるパフォーマンスの向上については色々と議論されていて、論文もいくつか出されていますが、決定的な結論は出されていません。
日本スポーツ歯科医学会の見解
日本スポーツ歯科医学会の見解としては、『マウスガードはパフォーマンスを下げることはない。』という曖昧な立場をとっています。
実際に論文でも、パフォーマンスが向上したという論文もあれば、変化がなかったという論文もあり、はっきりした結論には至っていません。
尾崎選手のような例もあり、パフォーマンスの向上については慎重になっているようです。
マウスガード製作所Ubuntuの見解
ここからはあくまでも個人的な見解として読んでください。
マウスガードの使用によりパフォーマンスが上がることは十分にあると考えています。
しかし、よく広告などで見かける、着けるだけで柔軟性があがるといったことはないと思います。
どういうことかと言うと、マウスガードも選手たちにとってはスパイクなどと同じでプレーをするうえでのひとつの道具です。どの道具でもそうですが、使ってすぐに結果が出る事は稀です。
その道具の特性や癖を理解し、使いこなせるようになって初めてその効果がプレーに反映されると思います。
つまり、適切に調整されたマウスガードを使い、使いこなすことさえできればしっかりパフォーマンスに効果を反映できると考えています。
マウスピース禁止の競技もある!?
実際にマウスピース使用の禁止が明記されている競技があるかというと昔はありました!!
2020年現在ではマウスピースの使用が禁止されている競技はありません。
柔道ではルールが変更
全日本柔道連盟は2008年3月17日付け文書(ルールの特殊な例の解釈)でマウスピースの装着を禁止しました。理由は色々と噂がありますが、寝技の時にマウスピースがはずれて気道を塞いでしまわないように使用を禁止したと言われています。
その後、 2017年にルール変更が行われ、『大会におけるマウスピースの使用を可とする。』という通達を出し、明確にマウスガードの使用が許可されました。
ただし、色に関しては白または透明に限られ、使用する選手は畳に上がる前に審判員または試合場係員にマウスピースを使用していることを申告する必要があります。
色に関するルールがある競技
マウスピースの使用を禁止する競技はありませんが、特定の色のマウスピースは使用禁止や、逆に特定の色のマウスピースでなければ使用禁止などのように、マウスピースの色に関して規制をしている競技はたくさんあります
2020年3月現在のルールですので、これからルールが改正されることもあるので、作製をお願いする前に一度確認をするようにしてください。
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