厚生労働省が通知!歯科技工士のみでマウスピースの提供はNG!!
昨年12月25日に厚生労働省が「いわゆるマウスピース等の取り扱いについて」という文書を日本歯科医師会に通知しました。
この通知がされたことによって、今までグレーゾーンとされていた部分が完全にブラックとなりました。これからマウスガード(スポーツ用マウスピース)を作ろうと考えている方は注意が必要ですのでよく読んでください。
※マウスガード製作所でのマウスガード作製は今後も問題ありませんので安心してください。
「いわゆるマウスピース等の取り扱いについて」
さっそく、厚生労働省が通知した文書の内容を見ていきましょう。
この文書の内容を簡単に説明すると、
「歯科医師の診療を受けずに、マウスガード(スポーツ用マウスピース)を作る事は違法です。」
という事を厚生労働省が発表したことになります。
これは、スポーツ量販店などで売られている既製のマウスピースは対象外で、歯の型どりをして作るカスタムメイドのマウスガード(スポーツ用マウスピース)に関しての内容ですので、量販店で既製のマウスガードは引き続き歯科医師の診療を受けなくても購入可能です。
歯医者以外に誰が?
「えっ?歯医者に行って作る以外に型どりして作る方法があるの?」
と思った方も多いと思いますが、実は最近、歯科医師の診療を受けずに、歯科技工士がマウスガードを作製し、選手に販売しているケースが増えてきていました。
この方法でのマウスガードの製作販売がグレーゾーンと言われていたのは、型どりを自分でさせていて、あくまでその手伝いをしていてだけというスタンスを貫いていたからです。
春になると新入生をターゲットにワゴンで学校を回り、選手自身に型どりをさせて、型を持ち帰りマウスガードを作製して郵送する業者や、通販で販売したりする業者がSNSなどで営業をしてきます。
選手の中には、ネット通販でマウスガードを購入した経験がある人もいるのではないでしょうか??
ネットで注文すると型どりキットが送られてきて、自分で型どりをして送り返したら、マウスピースが出来上がって送られてくるという流れです。
今回の厚生労働省からの通知を考えると、この流れに歯科医師の診療が入っていないのでネット通販もワゴンでの販売も両方ともOUTです。
まず、歯科医師や歯科衛生士でも経験を積まなければマウスガードの作製に必要な型どりは難易度が高いものです。それを、知識のない素人が自分で行うのは不可能です。
法律的にどうなのか?
厚生労働省が今回の通知を出した、根拠となっている法律について調べてみました。
歯科治療を行う上で守らないといけない法律として、歯科医師法・歯科技工士法・歯科衛生士法の3つがあげられます。今回のケースで注目するのは歯科医師法と歯科技工士法です。
マウスガードの作成について
歯科技工士がマウスガードを作成することは全く問題がありません。問題となる部分は、歯科医師の診療を行わず歯科技工士単独でマウスガードを作成する行為です。
まず、みていくのが、歯科技工士法第十八条です。
第十八条 歯科医師又は歯科技工士は、厚生労働省令で定める事項を記載した歯科医師の指示書によらなければ、業として歯科技工を行つてはならない。ただし、病院又は診療所内の場所において、かつ、患者の治療を担当する歯科医師の直接の指示に基いて行う場合は、この限りでない。
歯科技工士法(厚生労働省HP)
歯科技工士法第十八条が今回の通知で厚生労働省が一番言いたい部分ですね。歯科技工を行う場合は必ず歯科医師の指示が必要ということが明記されている為、歯科医師の診療・指示のない通販や歯科技工士が直接選手にマウスガードを作成するのは違法となります。
マウスガードの型どりについて
基本的に、通販や歯科技工士のみで作成を行っている場合、歯の型を取る時に自分で歯の型を取り、あくまで歯科技工士はその手伝いをしているというスタンスで行っています。
なぜなら、歯科技工士は選手の歯の型を取る事は、歯科技工士法で認められていないからです。もし、歯科技工士が選手の歯の型を取っているとすれば歯科技工士法違反です。
第二十条 歯科技工士は、その業務を行うに当つては、印象採得、咬合採得、試適、装着その他歯科医師が行うのでなければ衛生上危害を生ずるおそれのある行為をしてはならない。
歯科技工士法(厚生労働省HP)
歯科技工士法第二十条に書いてある印象採得が歯の型どりにあたり、違法となります。
罰則
歯科技工士法に違反したからといって罰則はなく、違反した場合は歯科医師法で罰せられることになります。
第十七条 歯科医師でなければ、歯科医業をなしてはならない。
歯科医師法(厚生労働省HP)
第二十九条 次の各号のいずれかに該当する者は、三年以下の懲役若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一 第十七条の規定に違反した者
二 虚偽又は不正の事実に基づいて歯科医師免許を受けた者
歯科医師法(厚生労働省HP)
歯科技工士法第二十条と歯科医師法第十七条の違反に関しては、すでに判例があるので、1つ載せておきます。
[blogcard url=”https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail3?id=24608″]
厚生労働省がマウスガード作製の一連の流れを【歯科医行為に該当する】と態度を明らかにしたことにより、通販でのマウスガードの販売や、歯科医師以外が出張して型どりを行いマウスガードを作製する事が出来なくなりました。
今後、マウスガードを通販で購入する事を考えていた選手や、通販事業を行っている技工所がスポンサーとして付いている選手は注意が必要です。
マウスガード製作所は安心
マウスガード製作所Ubuntuでは、スポーツ歯科医学会に所属しており、スポーツ歯科医学会認定マウスガードテクニカルインストラクターの資格を持つ歯科医師が口腔内診査、型どり、作製を行っています。
また、日本小児歯科学会にも所属しており、ジュニアのマウスガードも専門知識を持って製作が可能となっていますので、どの年代の選手も安心してオーダー下さい。
この記事へのコメントはありません。